<島の生態学とオオハマギキョウについての講演要旨>
                                                             010828新規
                                                   Bonin Explorer MULBERRY

<資料>
2001-7-29、小笠原ビジターセンターにおける
東京都立大学教授 可知直毅氏 の講演より


=講演内容=
1)島の生態学について
アイランドエコロジー・・・・・概念的には回りと孤立した環境なら島と考えられる。
  メタ個体群の生態学: 島−島のつながりを調べる。
  境界がはっきりし、構成種が少ない。
  海洋島: 種分化、適応放散、生態的開放など進化の実験場となる。
        日本では小笠原だけ。

海洋島のようなところでは、
  創始者原理やビン首効果により固有種が多くなる。

面積と種の関係:
  対数スケールで直線関係。
  海洋島では傾きがややきつい。
       小笠原と沖縄では小笠原のほうがきつい傾きに。
  面積増えると種も増える。

海洋島では開いたニッチに入り込みやすい:生態的開放

  例)沖縄ではある標高に分布の限られたもの:小笠原ではその近縁種がいろんな標高に幅広く分布。
         沖縄・アダンキ  海岸付近    小笠原・タコノキ  海岸から山頂まで

固有種の脆弱化
  ヤギの食害
  西洋ミツバチ:在来ミツバチは減少し、送粉昆虫相の変化。
  プラス
  乾燥した亜熱帯気候
  
最近の事例
  モンテンボクのメシベの短いものが出現しオシベの先端に:
       送粉昆虫とのからみかもしれない。

2)オオハマギキョウについて
オオハマギキョウについて
  父島では野生はほぼ絶滅、東島では自生。
             東島ではヤギがいなくなってから増えているように見える。
  木本化。1回繁殖で枯死。(芽生えから4−5年、平均4.6年)
  枯れ木・朽木を食べるもの多い:カミキリムシ科・ハナノミ科・タマムシ科など
  人為的に葉を食べるもの:ハムシ科

個体群統計学
  推移モデルにより:個体群の年増殖率
  最近の4年  1996-1.02   1997-0.84   1998-1.37  1999-1.15  

  自生場所での比較   岩場     ヤブ(草本)
      1996        0.87     0.74
      1997        0.78     0.74
      1998        1.62     1.39     
      1999        0.59     1.68
                減少傾向  プラス傾向

個体群の回復:  1998以降は ヤブでの発達
  ヤブ:ロゼットの成長や生存高い。 岩場:ロゼットの成長や生存が低い。
  結果としてヤブが避難場所に。
  
                                                         以上
                                     
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