<小笠原の昆虫相とその変遷についての講演要旨>
010701新規
071112更新
Bonin Explorer MULBERRY
<資料>
2001-6-24、小笠原ビジターセンターにおける
神奈川県立生命の星・地球博物館 高桑正敏氏・苅部治紀氏 の講演より
=レジメより=
・昆虫相からみた小笠原
本土と比べ、科の構成がまったく違う。
枯れ木や朽木に依存する種が極めて多い。
人為的な移入種の割合高い。
固有な種類の比率が高い。父・母で亜種を超える種も少なくない。
固有種のほとんどが枯れ木・朽木に依存。
海洋島にしては羽を失ったものが少ない。
飛翔性昆虫・浮遊性双翅類は固有性が高い。
諸島内で種あるいは亜種のレベルに分化したグループが少なくない。
・最近の変遷
1976から比べ、昆虫相が著しく貧弱に。
原因として 乾燥化と環境破壊。
アノールトカゲ・オオヒキガエルの捕食圧。
アカギの繁茂による在来植生の衰退。
=講演内容=
小笠原の地形変化
第四紀: 2万年前 海底低下 120-140m。
5500年前 海底上昇
一番寒い時期には今より700m以上低い。
伊豆半島と御蔵島までが大きな半島に、八丈島と青ヶ島が大きな島に。
黒潮が鳥島付近まで南下。
そうすると、朽木などが小笠原に流れ着きやすくなっていたはず。
小笠原と沖縄に共通しているものはたぶん新しい時代きたのでは。
小笠原は常に亜熱帯から熱帯気候。
へっている甲虫について
樹上活動、昼行性、卵を朽木に、体ちいさいものなどは、アノールトカゲが捕食の可能性大。
へらないものは上記と逆に、
夜行性、体大きい、昼間は樹木内などに隠れている、地上生活などのものは捕食から逃れられる。
例:タマムシやシロアリ
カミキリムシがいないと
木が枯れても、なかなか崩れない。
小笠原のカミキリムシ
40種中 9種は近縁が近くにない固有種
8種が人為的移入種
16種が沖縄方面に近縁種がある固有種
固有のトンボが減った理由:
沢の環境破壊・島全体の乾燥化・アノールノ捕食の可能性など。
小笠原の甲虫の科の組成
枯れ木・朽木を食べるもの多い:カミキリムシ科・ハナノミ科・タマムシ科など
人為的に葉を食べるもの:ハムシ科
オガサワラシジミの衰退
1976ころ 父母とも普通に見られた。
既知の産地:父 母 兄 姉 弟
オオバシマムラサキの花によく集まる
父島では1992以降見られない。
2007年時点で、他の島でわずかに生息が確認されているのみ。
以上