<小笠原の昆虫相とその変遷についての講演要旨>
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<資料>
2001-6-24、小笠原ビジターセンターにおける
神奈川県立生命の星・地球博物館 高桑正敏氏・苅部治紀氏 の講演より


=レジメより=
・昆虫相からみた小笠原
  本土と比べ、科の構成がまったく違う。
  枯れ木や朽木に依存する種が極めて多い。
  人為的な移入種の割合高い。
  固有な種類の比率が高い。父・母で亜種を超える種も少なくない。
  固有種のほとんどが枯れ木・朽木に依存。
  海洋島にしては羽を失ったものが少ない。
  飛翔性昆虫・浮遊性双翅類は固有性が高い。
  諸島内で種あるいは亜種のレベルに分化したグループが少なくない。

・最近の変遷
  1976から比べ、昆虫相が著しく貧弱に。
  原因として  乾燥化と環境破壊。
           アノールトカゲ・オオヒキガエルの捕食圧。
           アカギの繁茂による在来植生の衰退。


=講演内容=
小笠原の地形変化
  第四紀: 2万年前  海底低下 120-140m。
        5500年前  海底上昇 
        一番寒い時期には今より700m以上低い。
            伊豆半島と御蔵島までが大きな半島に、八丈島と青ヶ島が大きな島に。
            黒潮が鳥島付近まで南下。 
            そうすると、朽木などが小笠原に流れ着きやすくなっていたはず。

  小笠原と沖縄に共通しているものはたぶん新しい時代きたのでは。
  小笠原は常に亜熱帯から熱帯気候。

へっている甲虫について
  樹上活動、昼行性、卵を朽木に、体ちいさいものなどは、アノールトカゲが捕食の可能性大。

  へらないものは上記と逆に、
  夜行性、体大きい、昼間は樹木内などに隠れている、地上生活などのものは捕食から逃れられる。
  例:タマムシやシロアリ

カミキリムシがいないと
  木が枯れても、なかなか崩れない。

小笠原のカミキリムシ
  40種中 9種は近縁が近くにない固有種
        8種が人為的移入種
       16種が沖縄方面に近縁種がある固有種

固有のトンボが減った理由:
  沢の環境破壊・島全体の乾燥化・アノールノ捕食の可能性など。
  
小笠原の甲虫の科の組成
  枯れ木・朽木を食べるもの多い:カミキリムシ科・ハナノミ科・タマムシ科など
  人為的に葉を食べるもの:ハムシ科

オガサワラシジミの衰退
 1976ころ 父母とも普通に見られた。
 既知の産地:父 母 兄 姉 弟
 オオバシマムラサキの花によく集まる

 父島では1992以降見られない。
 2007年時点で、他の島でわずかに生息が確認されているのみ。
  
                                                         以上
                                     
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