〜東洋のガラパゴス〜小笠原の自然概要

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   Bonin Explorer  MULBERRY


小笠原は大洋島で、大陸と一度も陸続きになったことがなく、生物相は独自に進化をとげている。
成り立ちの似ているガラパゴスを冠して、東洋のガラパゴスとも言われている。





植物の特徴
・周りの地域に近縁種
  直接の祖先は他地域から。鳥散布が70%(特に鳥被食型)

・固有種が多い。全体の種類は少ない。
  自生種約300種(小笠原群島)のうち40%が固有種。(シダ類17%・草本26%・樹木約70%)

・常緑樹林  :       小型の常緑葉の硬葉樹林

・シイ・カシの仲間(ブナ科)は分布しない。:  種子(ドングリ)が大きい。塩水に弱い。

・自生の針葉樹が1種類のみ(シマムロ)。 :  鳥散布型果実。普通の針葉樹は風散布。

・シダ類多い  :全体の20%近く。

・マングローブがない。:他の島から遠すぎる。

植  生
・代表的タイプ  父島:乾性低木林(樹高7−8Mぐらいまで)
   

・父島の植生:
  シマイスノキ型低木林;標高200M以上の山地平坦面。固有種多い。世界的にも貴重。
 
  乾性型矮低木林   ;樹高0
.5〜1.M、土壌の浅い尾根部に。

  シマシャリンバイ型低木林;海岸付近からの稜線までの乾燥した斜面。

  ヒメツバキ型高木林(二次林);戦後の耕作放棄地など。非常に多い。

  海岸林  ;オオハマボウ・モモタマナ・テリハボク・ハスノハギリなど


・代表的な帰化種
  リュウキュウマツ:調和型・一代限り  アカギ:侵略型・永続して占有
   ギンネム:現状維持型・内部の更新   モクマオウ:痩せ地に純林・一代限り

代表的な固有種
・小笠原固有属:
  ワダンノキ属Dendrocacalia;ワダンノキ(キク科の樹木・母島列島のみ)  
  シロテツ属Boninia;シロテツ・オオバシロテツ・アツバシロテツ(ミカン科)

種分化
ひとつの祖先からの分化。遺伝的差異は小さい。形態差大きい。生育場所が異なり、棲み分け。
・トベラ属4種;シロトベラ・オオミトベラ・コバノトベラ・ハハジマトベラ
・ハイノキ属3種;ムニンクロキ・チチジマクロキ・ウチダシクロキ
・ムラサキシキブ属3種;シマムラサキ・オオバシマムラサキ・ウラジロコムラサキ


シダ植物
 総種数74種。維管束植物の20%弱。


代表的な天然記念物

・哺乳類:オガサワラオオコウモリ  鳥類:アカガシラカラスバト・オガサワラノスリ・メグロ
 甲殻類:オカヤドカリ  海産貝類:カサガイ  陸産貝類:固有のもの

陸上生物の特徴
・在来の哺乳類:オガサワラオオコウモリ 爬虫類:オガサワラトカゲ

・代表的な移入種:ヤギ・ネコ・ネズミ・アフリカマイマイ・アノールトカゲ・オオヒキガエル

・哺乳類 :オオコウモリ(天然記念物)父島で130頭ぐらい、草食性
         ノヤギ・ネズミ・ノネコ

・鳥類 :陸鳥の種少ない オガサワラノスリ・アカガシラカラスバト・トラツグミ・ヒヨドリ
                    ウグイス・メジロ・イソヒヨドリ・モズなど *メグロは母島のみ
        海鳥の繁殖地 カツオドリが代表的

・爬虫類:5種類(ウミガメを除く)  両生類:
2種類

・昆虫: わりと目に付きにくい。天然記念物10種類
     チョウ・トンボ・ガ・甲虫・アリ・セミ・アメンボ・ハチなど

・陸生甲殻類:オカヤドカリ4種、大半はムラサキオカヤドカリ。

地  質
火山岩主体:枕状溶岩・角礫岩。無人岩・安山岩・デイサイトからなりたつ。


                                       *資料:フィールドガイド小笠原の自然(褐テ今書院)ほか