<山から鯨見物
                                                         040415追加
                                              マルベリー 吉井信秋

2004年春、小笠原ホエールウォッチング協会の会報・メガプテラに投稿した文章です。


 2003年−2004年の年末年始はエコツアーに参加されるお客様のご案内で、毎日山を歩いていた。
 
 1230日は巽の西海岸に行った。
西海岸を見下ろす場所からザトウクジラを探した。天候は晴れ。
行きに寄ったときは見つからなかったが、帰りに寄ったときはちょうど巽湾の出口付近にブローが見えた。
巽湾の中から出てきたウォッチング船が
2隻着いていた。
ザトウクジラは西向きに移動していた


 13日は千尋岩(ハートロックの上のあたり)に行った。
その日は、やや霞んだ感じながらもよく晴れていた。
目的地は
240M以上の断崖で、そこからは南側と南島の西側の海域がよく見渡せる。
その日、そこで昼食を食べた。
休憩しながら遠くを見ていたら、南島の西沖にザトウクジラのブローが見えた。
かなり遠かったが、何とか肉眼でも確認できた。
昼食時だったせいか、全くウォッチング船は着いていなかった。
 
こんな風に、正月頃からGWぐらいまでは、
見晴らしのいい山の上でゆっくりすると、ザトウクジラがよく確認できる。
ザトウクジラが見れるのはウェザーステーションだけでなく、実は色んな所から見えるのだ。
とにかく、海が見えるポイントはどこでも、ウォッチングポイントといってもいいくらいだ。

 だからエコツアーで山に行くと、見晴らしのいいところではなるべく時間を取って、
ザトウクジラを探すようにしている。
そうすると、お客様の船でのウォッチング体験がまた蘇ってくるし、
これから見に行く人にはちょっとしたレクチャーになる。

 山から見ると、ザトウクジラの動きと、ウォッチング船の動きがよくわかることだ。
そして、一番いいのは、何よりもザトウクジラを待っていて揺れないことだ。
船酔いがない。


 遠くから見ていると、リラックスして広い視野で見ることができる。
確かに、船で見るようにはよくは見えないが、移動の仕方がほんとによくわかる。
また、ひそかに、ウォッチング船がどんな風にザトウクジラにつけているのかを、じっくり観察もできる。
ザトウクジラの動きが急に変わったときなど、見ていてなかなか面白い。

 そうやって、山からも、ザトウクジラを見ながら、自主ルールの話などをして、啓発の一端を担っているつもりだ。
エコツアーというのは楽しみながら、知ったり、考えたりするものである。

                                                         以上

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