<インタープリテションについてのセミナー要旨>
                                                             010402新規
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資料
2000-8及び2001-3下旬、小笠原ビジターセンターにおける
自然教育研究センター・古瀬浩史氏の講演より


=内容=
・インタープリテーション概略
  インタープリテーションとは 単なる情報伝達でなく、体験や教材を通し、
                   事物や事象の背後にある意味や関係を明らかにすることを目的とする教育活動。

  インタープリターとは     自然のメッセージを伝える媒介者

  歴史        (アメリカ)1889ロッキー山脈でネイチャーガイド始まる。国立公園できる。   
                   1920国立公園局による正式なプログラムはじまる。
                   1957フリーマン・チルデンによってインタープリテーションに関する著書。

  インタープリテーションの原則:
    1.単なる情報や知識の伝達でなく、情報に基づいて新しい世界を開くこと。啓発にちかい。
    2.参加者の経験や人間性に関連付けるとより効果的。
    3.人間のある一面にだけでなく、全人格的に働きかけるよう心がけるべき。
    4.子供向けは大人とは違うアプローチを。
    5.ものごとの部分を扱うのではなく、全体やつながりを示すように。
    6.技であり、芸である。


・自然ガイドとインタープリテーション
  自然ガイドはゲストに、
          自然についての新たな理解、興味、感動をもってもらうこと
           自分のガイドする自然を楽しみ好きになってもらうこと
          自然が発するメッセージを伝えること                 などが求められます。

  事例研究 その1「いつもはもっといい」:
              ゲストに失望感を与える可能性。
              その時々の状態で、最大限喜んでもらえる工夫が必要。
         その2「プロセスを見せる」
              目標に達するまでのプロセスに時間や手間をさくことで、期待感を高めたり、
              目標との出会いにより感動がえられる。
              ガイドや研究者の疑似体験となる。
         その3「詳しくないからできない」 
              知識はあったほうがいいが、必要条件でも十分条件でもない。
              知識よりも、いかに伝えるかやなにを伝えるかが重要。
              ガイドは自然の不思議を紹介できる人。
         その4「ガイドさんは詳しいですね」
              知識の伝達に過ぎない可能性がある。
              知識の伝達より、体験の重要性。

  要点  自然ガイドはすべてインタープリテーションを行う立場にある。
       インタープリテーションは専門分野で、効果をあげるにはノウハウや工夫が必要。
       知識はインタープリテーションにおける必要十分条件ではない。
       知識の伝達だけでは効果的なインタープリテーションではない。体験が重要。

・体験学習の過程と要素
  1.体験:参加・行動・観察・五感
  2.指摘:思い出す・データを集める・話し合い・プロセスを見る
  3.分析:なぜ・プロセスを知る・考える     
  4.仮説化:なにを学んだか・一般化・発見・仮説
  1.新たな体験
 というように、1-2-3-4-1-2〜と繰り返しながら体験を深めていくことができる。

・手法例
  見せる :視覚化教材・模型・標本・写真・フリップチャートなど。
  体  験 :実際に触ったり、匂いをかいだり、食べたり。
  クイズ化:発問によって参加性を高める、ワークシートなど。
  じらし効果:見つける過程を大事にし、目標物へのインパクトを高める。質問にたいし逆質問する。
  発見効果:参加者が目標物をみつけるようにする。
  珍品効果:珍しいものや貴重なものを素材にする。取り扱いに注意が必要。
  同調効果:驚きや喜びを共感する。
  おみやげ効果:記念品や写真など。メッセージを反映させることも可能。
  表現させる:分かち合い・感想を言ってもらうなど。
  分かち合い:参加者同士の体験の共有。
  ふりかえり:体験の再確認。
  体験学習:体験、学び方を学ぶ、ともに学ぶ、参加者主体、体験と理論の統合、楽しくなど。

・プログラムデザイン
  プログラムの定義:特定の目的を達成するために組みたてられたひとまとまりの活動。
  プログラム要素:目的要素(何のために)と組立要素(どのように)
  環境要素:実施する環境
  プログラムデザインの要素:目的要素---テーマ、ゴール、オブジェクティブ。
                  組立要素---骨組み(タイトル・素材・道具・手法・スタッフなど)、
                          ながれ(導入・展開・まとめ)。
                  環境要素---予算、場所、素材、安全、季節、対象者、時間など。


・プログラムの目的要素
  テーマ:伝えるべきメッセージ。重要かつ参加者と分かち合いたいこと。
  ゴール:目指すこと。方向性。

  オブジェクティブ:具体的な成果。評価できる指標。

  例) テーマ 魚の餌付けはよくない。 
      ゴール 参加者は餌付けをしないことに納得。      オブジェクティブ 餌付けの問題点が分かる。餌付けの影響が見分けられる。

  目的整理はトークスタイルやセミナーで特に有効。目的をはっきりさせることで、内容がまとまる。
  スタイルによっては、目的要素を3つに分けられないこともある。

・プログラムの組立要素


  骨組み:タイトル---内容が想像できるもの、適切なタイトルを。
       手法---環境要素を考慮して検討。
         教材、道具---プログラムの再現性を高める。
  流れ:導入、展開、まとめをどういう風に行うかの検討が重要。

・組立要素<流れ>
    例 導入--ひきつけ、そそのかし、アイスブレーキング(うちとけ)、ルール、質問、
           期待をもたせる、目的の共有、アウトライン、オリエンテーション、自己紹介など。
      本体(ツアー自体)---観察、体験、協力、五感、作業、発見、表現など。
      まとめ---ふりかえり、わかちあい、しみこませる、感想、発表、引用、メッセージ、
            おみやげ、PR
など


                                                   以上


                                     参照HPはこちら:自然教育研究センター
                                                    古瀬浩史氏